疾患

側湾症

側弯症(そくわんしょう、Scoliosis)とは、背骨(脊柱)が左右に曲がってしまう状態で、同時にねじれ(回旋)も伴うことが多い脊椎の変形疾患です。軽度であれば無症状のことが多いですが、進行すると外見の変化や痛み、呼吸機能の低下を引き起こすことがあります。

🔍側弯症とは?

  • 正常な背骨は、前後に軽く湾曲しているが、左右には曲がっていない
  • 側弯症では、脊柱がC字型やS字型に曲がる
  • さらに、背骨がねじれる(回旋)ことで肋骨の隆起(肋骨ハンプ)が見られることも

📌側弯症の主な分類と特徴

分類 特徴・説明 好発年齢 主な原因・背景 男女比
特発性側弯症 原因不明
– 全体の約80〜90%を占める
– 成長期に多く発症
思春期(10〜15歳) 不明(遺伝的素因、成長スパートとの関係が疑われる) 女子に多い(5〜10倍)
先天性側弯症 胎児期の脊椎の形成異常
– 生まれつき存在する
乳児〜幼児期 脊椎の奇形(形成不全・分節不全) 男女差は少ない
神経・筋原性側弯症 神経・筋疾患に伴って発症
– 進行が早く重度になりやすい
幼児〜思春期 脳性麻痺、筋ジストロフィー、脊髄空洞症など 男女差は疾患により異なる
加齢性側弯症 高齢者に発症
– 加齢による骨・関節・椎間板の変性が原因
高齢者(60歳〜) 椎間板変性、骨粗鬆症、脊椎関節の変形 女性にやや多い傾向

🧠主な症状

  • 肩の高さが左右で違う
  • 肩甲骨の出っ張り
  • 腰のくびれの左右差
  • 背中が片方だけ隆起(前屈テストで顕著)
  • 姿勢の歪み
  • (重度の場合)腰痛、背部痛、疲れやすさ
  • 進行すると内臓圧迫による呼吸障害や消化器症状が出ることも

🩺診断

  • 視診・触診
  • アダムス前屈テスト(背中を前に倒して肋骨の隆起を見る)
  • X線検査(コブ角を測定:10度以上で「側弯症」と診断)
  • MRI(神経・筋原性の可能性がある場合に精査)

💊治療法

治療の方針は主に年齢・進行の程度・コブ角の角度により決定されます。

🔸経過観察(軽度:コブ角10〜20度)

  • 定期的なX線検査で進行チェック
  • 運動制限なし。姿勢指導やストレッチなど

🔸装具療法(中等度:20〜40度)

  • 成長期の子どもに有効
  • 硬性装具(コルセット)を装着し、進行を抑える
  • 1日18時間以上の装着が推奨されることも

🔸手術療法(重度:40〜50度以上)

  • 脊椎を金属のロッドで固定し、矯正
  • 側弯が進行しつづける場合や、日常生活に支障がある場合に検討される

🧘‍♀️自分でできること(軽度・予防目的)

  • 体幹筋の強化(姿勢を保つ筋肉)
  • ヨガ・ピラティス・ストレッチ
  • 長時間同じ姿勢を避ける
  • 正しい座り方・立ち方を意識する
  • 学校検診で側弯の指摘があったら、必ず整形外科で再検査

❓側弯症は進行しやすい?

  • 成長が止まってから進行することは稀(加齢性は別)
  • 成長期(特に思春期の女子)は進行しやすい
  • 骨の成長が止まるまでに進行を防ぐことが重要